英語学習とイントネーション

「イントネーション」とは、基本的には声の高低、強弱の変化です。「イントネーション」と聞いて、まずみなさんが思い浮かべるのは疑問文では語尾を上げる、また「What〜」のような疑問文では語尾を下げる、というようなことでしょうか?これらのことももちろん「イントネーション」です。しかし、それだけではなさそうです。このコーナーでは、イントネーション、そしてその英語学習との関係について、「30音でマスターする英会話」の著者、Udaさんとの対談形式でまとめてみました。このページに来られた方は既にご存じかと思いますが、Udaさんは英語の発音に関して「UDA式」を提唱、確立された方で、その絶大な効果はホームページや雑誌で多く取り上げられています。

1.イントネーションとは何か?
2.イントネーションの重要性
3.イントネーション訓練法
4.イントネーションについての個人的見解

1.イントネーションとは何か?

英語においてイントネーションを形成する要素は

◎声の高さの変化
◎声の大きさの変化

の2つであるととらえているのですが、正しいでしょうか?
Udaさん
そうですね、普通の定義ではそれでいいのですが、とらえ方がいささか表面的なので、次の要素を検討する必要があります。足りないのは

1.単語の強弱と長短(表面的要素)
2.語順形成(syntax)と、英語で考える場合の基本的発想方法(内面的要素)

です。

1つ目は、文単位での長短、強弱ではなく、単語単位のそれら、ということですか?
Udaさん
「単語単位のそれら」の集合が文や文章です。

なるほど。今まではイントネーションを文全体の流れとして考えてしまっていたのですが、分解すると単語単位で強弱や長短を形成しており、それらが集まって、文全体の流れを作っている、ということですね。
Udaさん
その通りです。

2つ目は難しいですね。「語順形成」とは、ある人が英語を話すときに頭の中で考える「語順」の「形成」という意味でしょうか。
Udaさん
そうですが、文を作ってから話すのではなく、話しながら文を作っていく状態、つまり母国語を話す状態です。

「英語で考える場合の基本的発想方法」とイントネーションがどのように結びつくのかがちょっとわからないので教えていただけますか?
Udaさん
英語に限らず、母国語を話す場合の口調が一例です。また、流行語や儀礼的表現も別の例です
それらは単語や文という意識ではなく、「シチュエーション+口調」で覚え、使う場合にも「シチュエーション+口調」で再現するでしょう。つまり「シチュエーション+口調」=意味となります。
話す場合、意味の伝達を主とした場合に「シチュエーション+口調」で身につけた言葉を操り、意図を表現します。その過程では単語や文の意識はなく、ただ話している状態になるではありませんか。
英語の場合には「シチュエーション+口調」をイントネーションに置き換えて推察して下さい。

つまり、外面的な「口調」だけではなく、同時に存在している「状況」を両方とも考慮して、イントネーションとしてとらえるということですね。そして、その両方を考慮したイントネーションが「伝わる意味」になると。
Udaさん
そういうことです。

2.イントネーションの重要性

イントネーションが悪いと、どんな弊害が考えられるのでしょうか?
Udaさん
強弱のない平坦なイントネーションは、「通じにくく、覚えにくい」という結果になると考えられます。つまり

・聞いて覚えられない(←話し言葉は耳で覚える)
・読む場合にもイントネーションの区切りが正しくない場合、意味がとらえにくく、速く読めない。したがって、読んでも覚えにくい。

まとめると、英語が覚えにくく、上達しにくい、ということになります。
通じ易さに関しては、正しい発音を前提に、「てにをは」の代わりを務めるイントネーションの基本、意味の中心を強く、適度なスピードで言うことでしょう。
その場合、弱い語は「弱く速く」、がポイントになります。

イントネーションに関して日本人に多く見られる傾向、欠点などがもしあれば教えていただきたいのですが。
Udaさん
以下の3つに集約されます。

・イントネーションの重要性を理解していないこと
・イントネーションで話し言葉を身につけるという認識がないこと
・カタカナ英語の影響を受けてしまっていること


3つ目は、例えばどのような症状があるのですか?
Udaさん
例えば、前置詞「of」をカタカナ式に「オブ」と認識してしまっているせいで、必要以上に強く発音してしまう、ということが挙げられます。つまり「弱く発音しなければならない部分を弱く発音できない」ということです。

3.イントネーション訓練法

イントネーションを訓練するには、どのような方法が効果的でしょうか?
Udaさん
映画やドラマの短いセリフをそっくり真似るのがいいと思います。「真似る」というのはセリフのスピード+リズム+メロディをそっくりそのまま真似るということです。注意はイントネーションを覚えるまでは、その文を声に出していわないことです。慣れると1度でイントネーションを覚え、真似ることができるでしょう。

映画やドラマを利用しますと、そのセリフが話されているときの「状況」や話している人の「感情」なども映像の力でわかるので、先ほどお話しました「シチュエーション+口調」がそのままインプットできますね。
Udaさん
そうです。気に入った映画の気に入った場面、セリフを用いてトレーニングすればより効果的でしょう。

よくわかりました。ところで、イントネーションは、正しい発音ができていて初めて生きてくる、つまり「カタカナ発音」ではいくらイントネーションの訓練をしても無意味なのでしょうか
Udaさん
「カタカナ発音」でもそれなりの進歩、効果はありますが、聞き取れない部分は残るので、「正しい発音方法」を用いることが重要になってきます。
「正しい発音方法」とは、必ずしもネイティブと同じではなくとも、同じような発音という意味です。それで十分効果があるからです。

ということは、初めにしっかりと個々の発音を習得し、それからイントネーションの訓練をするのがベスト、ということですね。
Udaさん
その通りです。

4.イントネーションについての個人的見解
イントネーションについては私自身まだまだできていないので、わからないことだらけです。しかし、Udaさんが「発音より大切」と言われる以上、しっかりと訓練する必要が絶対にあります。
知りあいの外国人の方で、日本語のイントネーションがとてもいい方がいて、「どのように訓練したのか」とたずねたところ「テレビのドラマなんかをそっくり真似る訓練をひたすらやった」という答えが返ってきました。やはりそれが近道のようです。皆さんが外国人の話す日本語を聴いて、「日本語上手だなぁ」と感じるのは、そのイントネーションが良いときではないでしょうか?逆に、個々の音に英語なまりがなくても、イントネーションが悪いと非常に聴きにくい日本語になってしまいますよね。日本人が英語を話す際にも同じことが言えそうです。
ドラマの英語等を聴いていて、長いセリフを順番に頭で理解していき、一応は理解できたけど、何が言いたいのかが頭に残らない、もしくはすぐ頭から抜けてしまう、という経験はありませんか?私はしょっちゅうあります(^^; これは、イントネーションを聴き取ろうとしないで、読まれる単語からの意味だけを頼りに理解しようとしていることが原因と思われます。イントネーション訓練は洋画、ドラマの英語の理解のためにももちろん必要です。
今私がやっているトレーニングを紹介します。20秒くらいの簡単なダイアログのイントネーションをそっくり真似るようにして録音する、というものです。もう少し具体的に述べますと

1.ダイアログのイントネーションをしっかり覚えるまで聴きこむ(口に出さない)
2.1文ずつ録音し、手本と同じかどうか厳しくチェック
3.全体を通して録音し、手本と同じかどうか厳しくチェック

こんな感じですが、簡単そうに見えますが結構しんどいです。スピード+リズム+メロディを「そっくり真似る」ことは難しいです。このトレーニングをしばらく行ってから、洋画やドラマのセリフを利用したトレーニングに移ろうと思っています。


back

home inserted by FC2 system